イヤホンを購入しようとして「カナル型」という言葉を目にしたことはありませんか?
「普通のイヤホンと何が違うの?」「自分に合っているのかな?」と疑問に思う方も多いでしょう。
この記事では、カナル型イヤホンの基礎知識から、インナーイヤー型との違い、選び方、おすすめ製品まで、初心者向けにわかりやすく解説します。
カナル型イヤホンとは?基本の仕組みを解説
カナル型イヤホンの定義
カナル型イヤホンとは、耳栓のように耳の穴(外耳道)に直接差し込んで使用するタイプのイヤホンです。「カナル(canal)」は英語で「管」や「水路」を意味し、耳の穴に入れる構造からこの名前が付けられました。現在市場に出回っているイヤホンの大半がカナル型で、最も一般的なタイプと言えます。
カナル型イヤホンの構造
カナル型イヤホンの特徴的な構造は、イヤーピースと呼ばれる柔らかい耳栓部分です。
- シリコンやウレタンフォーム製で耳にフィット
- 耳の穴を密閉して外部の音を遮断
- 音漏れを防ぐ
- イヤホンを耳に固定する
イヤホン本体から伸びるノズル部分にイヤーピースを装着し、そのまま耳の奥に差し込む構造になっています。この密閉性の高さが、カナル型イヤホン最大の特徴です。
カナル型イヤホンの歴史
カナル型イヤホンが広く普及し始めたのは2000年代に入ってからです。それまではインナーイヤー型が主流でしたが、音質や遮音性の高さから徐々にカナル型がシェアを拡大しました。特に2010年代以降、スマートフォンの普及と共に、高音質・高遮音性を求めるユーザーが増え、カナル型が市場の中心になりました。現在では、エントリーモデルからハイエンドモデルまで、幅広い価格帯で選択肢が豊富に揃っています。
インナーイヤー型との違いは?他のタイプも比較
インナーイヤー型イヤホンとは
インナーイヤー型イヤホンは、耳の入り口部分(耳介)に引っ掛けて装着するタイプです。耳の穴には入れず、耳の浅い部分に乗せるように装着します。
代表的な製品: Apple EarPods(iPhoneに付属していたイヤホン)など。かつては主流でしたが、現在では製品数が減少しており、カナル型に置き換わってきています。
カナル型とインナーイヤー型の違い一覧
| 項目 | カナル型 | インナーイヤー型 |
|---|---|---|
| 装着方法 | 耳の穴に差し込む | 耳の入り口に引っ掛ける |
| 音質 | 密閉性が高く、低音が豊かで迫力がある | 開放的な音で抜けが良いが、低音は弱め |
| 遮音性 | ◎ 高い。外部の音をしっかり遮断 | △ 低い。周囲の音が聞こえやすい |
| 音漏れ | ◎ 少ない | △ 多い |
| フィット感 | ◎ 外れにくく安定。運動にも適している | △ 外れやすい。人によっては落ちやすい |
| 装着感 | 密閉感がある。人によっては圧迫感を感じる | 開放的で軽い装着感 |
| 長時間使用 | 人によっては耳が痛くなる | 比較的疲れにくい |
| おすすめ用途 | 通勤・運動・集中作業・音楽鑑賞 | 軽い作業・周囲の音も聞きたい時 |
| 代表製品 | AirPods Pro、Sony WF-1000XM5 | Apple EarPods(旧型) |
| 現在の主流度 | ★★★★★ 圧倒的主流 | ★☆☆☆☆ 製品数が減少傾向 |
その他のイヤホンタイプ
- 骨伝導イヤホン: 耳を塞がず、骨の振動で音を伝えるタイプ。周囲の音が聞こえるためランニングなどに人気ですが、音質はカナル型に劣ります。
- オープンイヤー型(耳掛け型): 耳の穴を塞がずに装着するタイプ。骨伝導ではなく通常のスピーカーを使用しますが、周囲の音も聞こえます。安全性重視の方におすすめです。
カナル型イヤホンのメリット・デメリット
カナル型イヤホンのメリット
| メリット | 詳細 | おすすめシーン |
|---|---|---|
| 高い遮音性 | イヤーピースが耳の穴を密閉し、外部の雑音をカット。音漏れも少ない | 電車・カフェ・図書館での集中作業 |
| 低音が豊か | 密閉性により低音域の再生に優れ、迫力のあるサウンドを実現 | EDM・ロック・映画鑑賞 |
| 外れにくい | 耳にしっかりフィットし、激しい動きでもズレにくい | ランニング・ジム・満員電車 |
| 小音量でクリア | 遮音性が高く、小さな音量でもしっかり聞こえる | 長時間の音楽鑑賞・健康重視 |
| カスタマイズ可能 | S・M・Lなどサイズ展開が豊富。素材も選べる | どんな人でもフィット感を調整可能 |
カナル型イヤホンのデメリット・注意点
| デメリット | 原因・状況 | 対策方法 |
|---|---|---|
| 耳が痛くなりやすい | サイズが合っていない、奥に入れすぎ、長時間使用 | 適切なサイズ選び/1〜2時間ごとに休憩/フォームタイプを試す |
| 周囲の音が聞こえにくい | 遮音性が高すぎる | 外音取り込み機能・片耳のみ・音量を下げる |
| 耳垢が付きやすい | 耳の奥に入れる構造 | 週1〜2回の清掃/定期的に交換/使用前に耳を清潔に |
| 装着に慣れが必要 | 耳の中に異物が入る感覚 | 短時間から始める/1週間程度で慣れる/正しい装着方法を学ぶ |
| イヤーピースが劣化・紛失 | 消耗品のため | 予備を用意/半年〜1年で交換/社外品も選択肢 |
カナル型イヤホンの種類
有線タイプ
特徴: 3.5mmジャックまたはUSB-Cでスマホやオーディオ機器に接続するタイプ。
- メリット: 充電不要/遅延なし/安価/安定した音質
- デメリット: ケーブルが邪魔/断線リスク/機種により変換が必要
- 向いている人: 音質最優先/充電の手間を省きたい/予算を抑えたい
ワイヤレス(Bluetooth)タイプ
完全ワイヤレス(左右独立型): 左右が独立。AirPods Proなど。
- メリット: ケーブルなし/携帯性◎/見た目がスマート
- デメリット: 充電が必要/紛失リスク/価格が高め
ネックバンド型: 左右がケーブルで繋がり、首にかけて使用。
- メリット: 落下の不安が少ない/電池持ちが良い/比較的安価
- デメリット: 完全ワイヤレスより自由度は低い/製品数は減少傾向
ノイズキャンセリング(ANC)機能付き
ANCとは: マイクで外部の騒音を拾い、逆位相の音で打ち消す技術。
- メリット: さらに静かな環境/移動や集中に最適
- 注意点: 価格が高め/バッテリー消費増/圧迫感を感じる人も
- 向いている人: 通勤・在宅ワーク・旅行が多い人
外音取り込み機能付き
周囲の音をマイクで取り込み、イヤホン越しに聞ける機能。
- メリット: イヤホンをしたまま会話・アナウンス確認・安全性向上
- 使用場面: 歩行・ランニング・レジやオフィスでの会話
ハイレゾ対応
特徴: CD以上の高音質フォーマットを再生可能。主に有線だが、一部ワイヤレスはLDAC・aptX HDに対応。
- 向いている人: 音質重視/ハイレゾ音源所有/音楽鑑賞が趣味
カナル型イヤホンの選び方|5つのポイント
| ポイント | 選択肢 | おすすめの人・詳細 |
|---|---|---|
| 1. 接続方法 | 有線/ワイヤレス | 有線=音質最優先・充電不要/ワイヤレス=利便性重視・運動向き |
| 2. 予算 | エントリー/ミドルレンジ/ハイエンド | 1〜2万円が最もバランス良好。初心者はミドルレンジがおすすめ。 |
| 3. 必要な機能 | ANC・外音取り込み・防水・マルチポイント・電池持ち | 通勤通学や在宅ワーク、運動など用途に合わせて選ぶ |
| 4. 装着感 | イヤーピースのサイズ/素材 | 最低S/M/L。可能なら試着。フォームは柔らかく遮音性◎ |
| 5. 音質の好み | 低音重視/バランス型/高音・解像度重視 | ジャンルや好みで選択。迷ったら「バランス型」 |
迷ったら:ワイヤレス × 1〜2万円 × バランス音質が無難です。
【2025年版】おすすめカナル型イヤホン6選
Apple AirPods Pro(第2世代)
価格帯: 約39,800円/タイプ: 完全ワイヤレス
iPhoneユーザーに最もおすすめ。トップクラスのノイズキャンセリングと自然な外音取り込み。空間オーディオ対応で映画や音楽も立体的。装着感も良好で、バッテリーは本体最大6時間、ケース込み最大30時間。
- アクティブノイズキャンセリング
- 外音取り込み(適応型)
- 空間オーディオ
- IPX4防水
- Apple製品とのシームレス接続
おすすめ: iPhoneユーザー/高品質ノイキャンが欲しい人
Sony WF-1000XM5
価格帯: 約40,000円/タイプ: 完全ワイヤレス
業界最高クラスのノイズキャンセリング。LDAC対応で高音質。小型軽量で装着感◎、通話品質も良い。
- 強力ANC
- LDAC(ハイレゾ相当)
- 外音取り込み
- IPX4防水
- マルチポイント接続
おすすめ: 音質とノイキャンを両立したい人(Android/iPhone問わず)
Anker Soundcore Liberty 4
価格帯: 約12,990円/タイプ: 完全ワイヤレス
コスパ良好。ANC・外音取り込み・LDAC対応。アプリでEQ調整可。電池持ちも優秀。
- アクティブノイズキャンセリング
- LDAC対応
- 外音取り込み
- IPX4防水
- ワイヤレス充電対応
おすすめ: 初めての完全ワイヤレス/コスパ重視
JBL WAVE BUDS
価格帯: 約9,000円/タイプ: 完全ワイヤレス
低価格でもJBLらしい力強いサウンド。ANCは非搭載だが、カナル型の遮音性で実用的。電池持ち◎。
- JBLサウンド
- IPX2防水
- 長時間バッテリー(本体8時間/ケース込み32時間)
おすすめ: 予算重視/サブ機が欲しい人
final E3000
価格帯: 約5,480円/タイプ: 有線(3.5mm)
6,000円以下とは思えない高音質。バランス良く、ジャンルを選ばない。絡みにくいケーブルと5サイズのイヤーピース付属。
- 高コスパ高音質
- 5サイズのイヤーピース
- 絡みにくいケーブル
おすすめ: 有線派/低予算で音質重視
Shure SE215
価格帯: 約16,000円/タイプ: 有線(リケーブル可)
遮音性が非常に高く、プロにも定番。断線時もケーブル交換で長く使える。「SHURE掛け」で安定。
- 高い遮音性
- MMCXリケーブル対応
- 耐久性に優れる
おすすめ: 本格的な音質を求める人/長期利用したい人
製品比較一覧表
| 製品名 | 価格 | タイプ | ANC | 防水 | おすすめ度 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| AirPods Pro (第2世代) | 約4万円 | 完全ワイヤレス | ◎ | IPX4 | ★★★★★ | iPhone/通勤/仕事 |
| Sony WF-1000XM5 | 約4.2万円 | 完全ワイヤレス | ◎◎ | IPX4 | ★★★★★ | 音質/ノイキャン最強 |
| Anker Liberty 4 | 約1.3万円 | 完全ワイヤレス | ◎ | IPX4 | ★★★★☆ | コスパ/初心者 |
| JBL WAVE BUDS | 約5千円 | 完全ワイヤレス | なし | IPX2 | ★★★☆☆ | 入門/サブ機 |
| final E3000 | 約2.8千円 | 有線 | – | なし | ★★★★☆ | 有線/高音質/低予算 |
| Shure SE215 | 約1.3万円 | 有線 | – | なし | ★★★★☆ | 本格音質/長期使用 |
カナル型イヤホンの正しい使い方と注意点
正しい装着方法
- 適切なサイズのイヤーピースを選ぶ(まずはMサイズから。緩ければL、きつければS)
- イヤホン本体を持つ(ピース部分は持たない)
- 耳たぶを軽く引っ張る(耳道が開いて装着しやすい)
- ゆっくり奥まで差し込む(無理押しせず回しながら)
- 位置調整(前後左右に微調整して密閉を確認)
SHURE掛け(耳掛け装着): ケーブルを耳の上に回すと安定感が増し、タッチノイズも軽減します。
イヤーピースの選び方
- サイズの目安: すぐ外れる→大きく、痛い/圧迫→小さく、低音不足→大きく、こもる→浅すぎ注意
- 左右でサイズが違ってもOK
- 素材: シリコン=耐久・衛生/フォーム=やさしい装着感・遮音性UP
- 社外品例: Comply(フォーム)、SpinFit(可動軸シリコン)、final Eタイプ、AZLA SednaEarfit など
お手入れ方法
- イヤーピース: 週1〜2回ぬるま湯で洗浄→完全乾燥後に装着(本体は水洗いNG)
- 本体: 乾いた柔らかい布/メッシュは綿棒で優しく/端子の清掃も定期的に
- 交換目安: シリコン=1〜2年、フォーム=3〜6ヶ月(弾力低下で交換)
- 保管: ケース保管、きつく巻かない、高温多湿・直射日光を避ける
長時間使用の注意
| 項目 | 推奨内容 | 理由 |
|---|---|---|
| 連続使用時間 | 1〜2時間まで | 耳への圧迫を軽減 |
| 休憩時間 | 1時間使用で10〜15分休憩 | 疲労回復・難聴リスク低減 |
| 1日の合計 | 4〜5時間まで | 長期的な聴力保護 |
| 音量レベル | 最大音量の60%以下(WHO推奨) | 難聴予防 |
| 理想的な使用 | 1日1時間以内 | 最も安全 |
安全な使い方
| シーン | 推奨される使い方 | 注意点 |
|---|---|---|
| 歩行中 | 音量を下げる/片耳のみ/外音取り込みON | 車や自転車の接近に気づけるように |
| 自転車運転 | 基本は使用しない | 都道府県によっては条例で禁止 |
| 車の運転 | 使用しない | 道路交通法違反 |
| 駅のホーム | アナウンスが聞こえる音量に | 安全確認・緊急時の対応 |
| レジ・窓口 | 外音取り込みONまたは片方外す | スムーズなコミュニケーション |
| ランニング | 外音取り込み推奨/明るい時間帯/人通りの多い場所 | 周囲の状況把握が重要 |
- 睡眠時の使用は避ける(耳への負担・紛失リスク)
- 子供は保護者が音量を管理
- 定期的に耳鼻科で耳の健康チェック
まとめ
- カナル型の特徴: 耳の穴に差し込むタイプで、高い遮音性と音質が魅力。インナーイヤー型より外れにくく音漏れも少ない。
- 選び方のポイント: 接続方式→まずはワイヤレス、予算→1〜2万円、機能→ノイキャン/防水/外音取り込み、装着感→サイズと素材、音質→バランス型が無難。
- おすすめ製品: iPhoneユーザー=AirPods Pro(第2世代)、音質/ノイキャン最強=Sony WF-1000XM5、コスパ=Anker Liberty 4、有線の低予算=final E3000、有線本格派=Shure SE215。
- 使用上の注意: サイズ合わせ、1〜2時間ごとの休憩、定期清掃、歩行時は外音取り込みなど安全対策。
※記事内の価格は2025年10月時点の目安です。最新の価格や在庫状況は、各メーカー公式サイトや販売店でご確認ください。



コメント